熊の足跡

2001年07月19日(木曜日)

熊の足跡

うへぇー

そろそろお腹も空いたなー。などと思い始めていたた正午少し前。
近くの電話が鳴り、受話器を受け取るやいなや、でっかい声が耳に飛び込んできました。
「オーイ、消防の二階堂でーす!でっかい熊の足跡がベタクソついてるぞおー。とりあえず見にこいやー。」
「わかりましたー。」
さっそくデジタルカメラを抱え、昼飯そっちのけで現場へと向かいました。
写真は、一足先に現場に着いていた同じ消防署の赤平さん。お休みにもかかわらず、わざわざ見に来たようです。
くっきりとついた足跡を見つめ、
「うへぇー、ホントだ。」

標本のような

それにしてもこれぐらい鮮明な足跡は珍しい。
まるで石膏で型をとったように、くっきりと形が残っています。
大げさな話ではなく、熊さんの肉球の一つ一つまで観察することが出来ます。
「イヤー、でっかいなぁ。」
赤平さん達も、自分の手のひらと足跡の大きさを比べたりしながら驚いたり感心したり。
「このまま残したら化石になりませんかね?ほら、恐竜の足跡の化石もあるじゃないですか。」
「なるわけねーだろ!」
そりゃそうですよね。

冷静な分析

メジャーで測ってみると、後ろ足で30センチほどの大きさがあったそうです。
「うん、こりゃ250キロは超えてるな。」
足跡を見ながら冷静に分析する二階堂さん。

「ほれ、見ろ。これが爪のあとだ。」
二階堂さんが指さしているのが、熊の左前足の爪の跡です。
熊の爪は鉤のように曲がっているので、真っ直ぐに直せば10センチ以上の長さになるのかもしれません。

現場検証

「最近何日か雨が降っていただろ。熊が通った時、ここは水たまりだったんだ。だからこんなにきれいに足跡が残ったんだろうなぁ。」
「でもこの熊、どっちの方から来たんだ?」
二階堂さん、熊の足跡をどんどんとさかのぼっていきます。
足跡は点々と50メートル以上に渡って続いていました。

ハンターのような

「ホラこれ!ホラこれ!」
少々見づらい砂利の上でも、目ざとく足跡を見つけていく二階堂さん。
指さすところを見ると、なるほどきちんと足跡が残っています。
しばらく行くと、熊さんがひっくり返した流木を発見しました。

蟻は熊の大好物

熊さんの目的は、流木の下にあったアリの巣です。
木をひっくり返して下にいた蟻を食べたのでしょう。

私の彼は右利き

木には、くっきりと爪痕が残っていました。
爪痕から判断すると、どうやらこの熊さんは右利きのようです。

ホントに出てこないだろうな

「オイオイ、その辺にまだいるんじゃないだろうな。」
落ちていた棒きれを振り回しながら笑う赤平さん。
「このクラスの熊が目の前に出てきたら泣いちゃいますよね。」
「ホントだよな。」
笑いながらも、どこか目が泳いでいる私たちなのでした。

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