○美しい占冠の風景を守り育てる条例
昭和62年3月18日条例第9号
美しい占冠の風景を守り育てる条例
目次
前文
第1章 総則(第1条―第5条)
第2章 景観形成指針等(第6条―第13条)
第3章 景観協定等(第14条・第15条)
第4章 占冠村景観審議会(第16条・第17条)
第5章 雑則(第18条―第20条)
附則
雪原の中にそびえ立つ針葉樹林、青空の下で草をはむ牛の群れ、とうとうと流れる鵡川の清流など、私達の住む占冠は自然性豊かな美しい風景をもっている。
この風景は、先人の永年にわたる自然との闘いの中から生まれた占冠の貴重な文化遺産である。自然を守り、美しい風景と調和した開発を進め、活力ある個性的なふるさとを築いて行かなければならない。ここに私達は、村、村民等が一体となり美しい占冠の風景を未来へ引き継ぐことを決意し、この条例を定める。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、占冠の景観形成に関し、村、村民及び事業者の責務を明らかにするとともに、必要な地域の指定、行為の指導等を行うことにより、美しい郷土占冠を守り、つくり、育てることを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 村民等 村民及び事業者をいう。
(2) 景観形成 占冠の美しい風景を守り、つくり、育てることをいう。
(3) 建築物等 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物及び建築物以外の工作物で規則で定めるものをいう。
(4) 屋外広告物 屋外広告物法(昭和24年法律第189号)第2条第1項に規定する屋外広告物をいう。
(村の責務)
第3条 村は、景観形成に関し、必要な調査を行うとともに、基本的かつ総合的な施策を策定するものとする。
2 村は、事業の実施に当たっては、景観形成に配慮して事業を推進するよう努めるものとする。
3 村は、景観形成について、村民等に理解を深めるよう、啓発に努めるとともに、村民等の意見、要望等を施策に反映するよう努めるものとする。
4 村は、この条例による施策の実施について、村民等の協力を得るよう努めるものとする。
(村民等の責務)
第4条 村民等は、景観形成に関して、意識を高め、自ら景観形成に寄与するよう努めるとともに、村が実施する施策に協力するものとする。
2 村民等は、建築物等の新築、増築、改築、移転又は外観の修繕、模様替え若しくは色彩の変更を行おうとするときは、第6条第1項に規定する景観形成指針に配慮するよう努めなければならない。
3 村民等は、屋外広告物を表示し、又は屋外広告物を掲出する物件を設置しようとするときは、景観形成指針に配慮するよう努めなければならない。
(国等への要請)
第5条 村長は、必要があると認めるときは、国、地方公共団体又はこれらが設立した団体に対し、景観形成について、協力を要請するものとする。
第2章 景観形成指針等
(景観形成指針の策定)
第6条 村長は、村民等との協力の下に景観形成のための基本的かつ総合的な指針(以下「景観形成指針」という。)を定めるものとする。
2 村長は、景観形成指針を定めようとするときは、あらかじめ、占冠村景観審議会の意見を聴かなければならない。
3 村長は、景観形成指針を定めたときは、これを告示しなければならない。
(景観形成地区の指定)
第7条 村長は、景観形成を図る必要があると認められる地区を景観形成地区として指定することができる。
2 村長は、景観形成地区を指定しようとするときは、あらかじめ、占冠村景観審議会の意見を聴かなければならない。
3 村長は、景観形成地区を指定しようとするときは、あらかじめ、規則で定めるところにより、その旨を告示し、その案を当該告示の日から2週間公衆の縦覧に供さなければならない。
4 前項の規定による告示があったときは、当該地区の住民及び利害関係人は同項の縦覧期間満了の日の翌日から起算して1週間を経過する日までに縦覧に供された案について、村長に意見書を提出することができる。
5 村長は、前項の規定による意見書の提出があったときは、その内容の要旨を占冠村景観審議会に報告しなければならない。
6 村長は、景観形成地区を指定したときは、これを告示しなければならない。
7 第2項から前項までの規定は、景観形成地区を変更する場合について準用する。
(地区景観形成基準の作成)
第8条 村長は、景観形成地区の指定をしたときは、当該地区における景観基準(以下「地区景観形成基準」という。)を定めなければならない。
2 地区景観形成基準には、次の各号に掲げる事項で必要なものを定めるものとする。
(1) 当該景観形成地区における景観形成のための方針に関する事項
(2) 敷地の緑化に関する事項
(3) 建築物等の敷地内の位置、規模、意匠及び色彩に関する事項
(4) 建築物等に附属する設備の規模、意匠及び色彩に関する事項
(5) 屋外広告物の位置、規模、意匠及び色彩に関する事項
(6) 土地の形質に関する事項
(7) その他村長が、景観形成のために必要と認める事項
3 前条第2項から第6項までの規定は、地区景観形成基準を定め、及び変更する場合について準用する。
(行為の届出)
第9条 景観形成地区内において次の各号に掲げる行為をしようとする者は、あらかじめ、規則で定めるところにより、その内容を村長に届出なければならない。
(1) 建築物等の新築、増築、改築、移転又は外観の修繕、模様替え若しくは色彩の変更
(2) 屋外広告物の表示又は屋外広告物を掲出する物件の設置
(3) 宅地の造成その他の土地の形質の変更
(4) 立木の伐採
(5) 前4項に掲げるもののほか、周囲の景観を損なうおそれのある行為で規則で定めるもの
2 前項の規定は、次の各号に掲げる行為については、適用しない。
(1) 通常の管理行為、軽易な行為その他の周囲の景観を損なうおそれのない行為で規則で定めるもの
(2) 非常災害のために必要な臨時応急の措置として行う行為
(3) 国、地方公共団体又はこれらが設立した団体が行う行為
(4) 景観形成地区が指定され、又はその地区が拡張された際当該地区内において着手している行為
(地区景観形成基準の遵守)
第10条 景観形成地区内において第9条第1項各号に掲げる行為をしようとする者は、当該行為が当該地区における地区景観形成基準に適合するよう努めなければならない。
(協力等の要請)
第11条 村長は、第9条第1項の規定による届出があった場合において、当該届出にかかる行為が地区景観形成基準に適合しないと認めるときは、当該届出をした者と協議し、必要な措置を講ずるよう協力を要請することができる。
2 村長は、前項の規定による要請をしようとする場合において、必要に応じ占冠村景観審議会の意見を聴くことができる。
第12条 村長は、景観形成地区内の空地、廃屋その他規則で定めるもの(以下「空地等」という。)が当該地区の景観を著しく阻害していると認めるときは、当該空地等の所有者又は管理者に対し、景観形成に配慮した空地等の管理を行うよう要請することができる。
2 第11条第2項の規定は、前項の要請をする場合について、準用する。
第13条 村長は、国、地方公共団体またはこれらが設立した団体が景観形成地区内において公共事業等を行う場合は、当該地区における地区景観形成基準に配慮するよう要請するものとする。
第3章 景観協定等
(景観協定)
第14条 村民等は、相互に協力し、美しく魅力ある景観づくりを進めるため、その所有し、若しくは管理する土地又は建築物等について、一定の区域を定め、その区域における景観形成に関する協定を締結することが出来る。
2 前項の協定には、次の各号に掲げる事項で必要なものを定めるものとする。
(1) 協定の名称、目的及びその対象となる土地の区域に関する事項
(2) 敷地の緑化に関する事項
(3) 建築物等の敷地の位置、規模、意匠及び色彩に関する事項
(4) 屋外広告物の位置、規模、意匠及び色彩に関する事項
(5) 協定の有効期間に関する事項
(6) 協定の変更又は廃止の手続きに関する事項
(7) その他の当該地区の景観形成に関する事項
3 第1項の規定による景観形成に関する協定を締結した村民等の代表者は、その協定書及び規則で定める事項を記載した書面を作成し、これを村長に提出して、その協定が景観形成に資するものである旨の認定を受けることができる。
4 村長は、前項の認定申請があった場合において、当該協定が景観形成に資するもので、景観形成指針等に適合すると認めるときは、当該協定を景観協定として認定するものとする。
5 村長は、前項の規定により景観協定の認定をしようとするときは、あらかじめ、占冠村景観審議会の意見を聴かなければならない。
(景観協定に対する助成)
第15条 村長は、前条第4項の規定により認定した景観協定の区域内において、当該協定の関係者が行う景観形成を図るための措置に対し、予算の範囲内でその措置に要する経費の一部を補助し、若しくは資金の融資をすることができる。
第4章 占冠村景観審議会
(景観審議会の設置)
第16条 村長の附属機関として、占冠村景観審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、この条例の規定により定められた事項を調査審議するほか、村長の諮問に応じ景観形成に関する事項を調査審議するものとする。
3 審議会は、景観形成に関する事項について、村長に意見を述べることができる。
(規則への委任)
第17条 この章に定めるもののほか審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第5章 雑則
(助言等)
第18条 村長は、第11条第1項及び第12条第1項の規定による要請に応じない者に対し、この条例の施行のために必要な限度において、報告若しくは資料の提出を求め、又は助言を行うことができる。
(土地の緑化等)
第19条 土地の所有者又は管理者は、景観形成のために必要な花木の植栽、緑化等の措置に努めなければならない。
(組織及び運営)
第20条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、規則で定める。
附 則
この条例は、公布の日から起算して6月を越えない範囲内において規則で定める日から施行する。(昭和62年7月規則第6号で、同62年7月1日から施行)